■加齢黄斑変性に関する豆知識

▼加齢黄斑変性の原因
◆加齢黄斑変性は、眼球の奥にある網膜で異変が起こります。 網膜の中心に「黄斑」というへこんだ部分があります。 直径たった6mmの小さな場所です。正常な網膜を映した立体画像を見ると、へこんでいるのがよくわかります。 しかし、加齢黄斑変性では逆に黄斑は盛り上がっています。 なぜ盛り上がっているのかというと、網膜の奥に新たな血管ができ、黄斑を押し上げたためです。

▼病気が進行すると・・・
◆病気が進行すると治療してもなかなか視力は戻りません。 そうなると目の奥のものを移す細胞が傷ついて減ってしまっているので治療しても 働きが戻らない状態にまで進行しているのです。 片目に症状が出て数年後にもう片方に出る人が多いです。 したがって、片側に黄斑変性が出たら気を付けないと、両眼性になって非常に不自由する人が多いです。

▼黄斑が腫れる原因
◆黄斑が腫れる原因は、加齢で網膜の中心部が弱ってくると黄斑の下の視細胞のさらに下にある脈絡膜にある血管から 「新生血管」という弱い血管が新しくでき、それが膨らんで網膜や黄斑を押し上げるために置きます。 新生血管というのは非常にもろい血管で、水が漏れてきたり、出血したりして物を映す細胞の働きを妨げてしまいます。 この病気は遺伝的なものもある程度背景にあって、それに後天的なもの、加齢やタバコ、 食べ物といったものが影響して出てきます。 黄斑というのは非常に重要な部分でいつも「焦点」が合っているところで、絶えず酷使されている場所ですから、 どうしても「使い傷み」が出てきます。光がいつも焦点が当たっているので視細胞とその奥の細胞が酷使されているので、 一番やられやすい場所といえ、弱い血管が生えやすいのです。 視細胞はその下の細胞とくっついていることで働きがよくなりますが、 新生血管ができて水が漏れたり出血したりして盛り上がり、 視細胞がのその下の細胞は離れてしまうとうまく像が映らなくなり、 目で物を見たときに中心部が黒くなって物が見えづらくなったりします。 加齢黄斑変性は早い段階(新生血管が出始めたころ)で治療すれば見え方の回復が見込めます。

▼失明
◆加齢黄斑変性の患者数は、1998年には約37万人だったのが2012年には約89万人とこの15年間で2.5倍に増えています。 加齢黄斑変性は50歳以上の人がほとんどです。これから先高齢化社会が進むとさらに増えてくると考えられます。 欧米では中途失明の原因第1位です。

▼加齢黄斑変性のチェック
◆加齢黄斑変性のチェック法には「アムスラーチャート」という方法があります。 やり方はアムスラーチャートを目から30cm離して片目で中心点を見つめます。 チェックする点は3つ。「線が歪んでいないか」「中心点はハッキリ見えているか」「欠けている部分はないか」。 1つでも当てはまると加齢黄斑変性などの網膜の病気の可能性があります。 この検査はアムスラーチャートの代わりに方眼紙やお風呂のタイルなど格子状のものを片目で見ることでもチェックできます。 この検査は両目で見ると悪い方の目をよい方の目が補ってしまうので、片目で見ることがポイントです。

▼加齢黄斑変性の治療
◆加齢黄斑変性の治療は、目に直接「抗VEGF薬」を注射します。 麻酔をしてからさすので痛みはありません。 この薬が登場して加齢黄斑変性の治療が格段に進みました。 加齢黄斑変性は、網膜の奥に新生血管が生えることで黄斑が盛り上がってしまうことが原因です。 抗VGEF薬を打つと、新たな血管ができるのを妨げたり、できた血管を小さくしたりします。 そのおかげで、盛り上がってしまった黄斑が元に戻ります。 その黄斑の部分を狙うため、抗VGEF薬を直接目に注射しなければならないのです。 注射は硝子体というゲル状になった目の一番広い部分に液を入れるので、自然と薬が拡散して黄斑のところまで届き、 新生血管を小さくします。
◆抗VGEFの注射は最初は1ヶ月ごとに3ヵ月連続、以降は医師が経過を観察しながら注射の間隔を調節しますが、 ある程度は継続する必要がります。1回3割負担の方で約5〜6万円かかります。 注射を打ち始めのころはすぐに元に戻ってしまい、その後も効果は2〜3ヶ月といったところで、 そうするとまた、水が溜まって戻り始めるのでその頃にまた注射を打つようにします。 眼帯は、次の日にはずせますし、スポーツなどをすることも問題ありません。

▼抗VGEFが危険な場合
◆加齢黄斑変性の治療に抗VGEGの注射は有効ですが、脳梗塞になった人などでは再発する危険性があり、 使用できない場合もあります。また、注射で目が細菌に感染する危険性もあります。

▼加齢黄斑変性を未然に防ぐ
◆目の奥の眼底を見る「眼底カメラ」で加齢黄斑変性の前兆がわかります。 まず、瞳孔を開く目薬をさします。そして眼底カメラで目の奥をくまなく調べます。 これで「ドルーゼン」を調べます。ドルーゼンとは目の奥に溜まる老廃物です。 ドルーゼンが溜まると黄斑の部分が汚れて見えます。ドルーゼンが多い人は加齢黄斑変性になる可能性が高いのです。 ドルーゼンは網膜の細胞が出す老廃物。年を取ってくるとこのドルーゼンがうまく排出されず溜まっていくことがあります。 ドルーゼンが溜まると、新しい血管ができてくるため、加齢黄斑変性を引き起こすと考えられています。 眼底カメラでドルーゼンがあるかどうかを調べることで、加齢黄斑変性の前兆がわかります。 ドルーゼンが多く溜まると、視野に歪みが出てくることもあります。 50歳を超えたら眼科を受診して加齢黄斑変性の前兆、ドルーゼンがあるかどうかを調べてみてください。

▼追加検査
◆ドルーゼンが多いとわかった場合、さらに詳しい検査が行われます。 1つは「造影検査」。眼底の血管を調べ、新たな血管がないかを調べるのです。 もう1つが「OCT検査」。網膜の断面を見ることができ、もし黄斑に膨らみがあればすぐにわかります。 費用は3割負担で、眼底検査が1,200円程度、OCT検査が600円程度、造影検査が1,350円程度です。

▼ドルーゼンを増やさないようにする方法
◆加齢黄斑変性にならないようにするためには、「緑黄色野菜」をバランスよく摂ることが大事。 緑黄色野菜をしっかり摂ると、ドルーゼンの発生を抑えることができます。 その理由は、緑黄色野菜に含まれる栄養素がもっている「抗酸化作用」です。 ドルーゼンを溜めないようにする栄養素は「ルテイン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛」で、 緑黄色野菜は「ホウレン草、小松菜、ブロッコリー、ニンジン、パプリカ、カボチャなど」です。 ホウレン草、小松菜、ブロッコリーは、ルテインがたくさん含まれています。 ルテインは黄色い色素で、これは黄斑の色素の中にあり、食事から摂ることができます。 黄色い色素は網膜の視細胞を守っているので、それが加齢黄斑変性の防止につながります。 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛も加齢黄斑変性によく効く栄養素といわれています。 緑黄色野菜は油(少量)と一緒に摂るとルテインの吸収率が上がります。
◆さらにもう1つの方法がが「サプリメント」。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、 亜鉛が入ったサプリメントです。 加齢黄斑変性の前段階の人が摂らなければいけない緑黄色野菜の量は、私たちが1日に摂取できる量をはるかに超えています。 ですから、日頃は食生活に気を付けて足りない分をサプリメントで補う必要があります。 加齢黄斑変性にサプリメントが有効だということはもう10年以上にわたって、アメリカで研究されており、 前記のサプリメントが加齢黄斑変性によいことが実証されています。 このサプリメントは「加齢黄斑変性専用のサプリメント」がありますが、健康保険適用外なので費用は自己負担になります。 ただし、サプリメントを摂取量は、緑黄色野菜の不足分を補う程度にする必要があるので、医師に相談しましょう。 サプリメントを過剰に摂取すると中毒になったり、例えば、βカロチンや亜鉛を過剰に摂取すると 悪性腫瘍ができてしまうという報告もあるので、適量摂取が大事です。

▼ドルーゼンが溜まりやすい食事
◆肉。肉には脂が多いのでドルーゼンが溜まりやすくなります。

▼禁煙
◆加齢黄斑変性発症の危険因子として、加齢の次にタバコが一番危ないといわれています。 タバコを吸う人と吸わない人を比較するとタバコを吸う人の方が4〜5倍発症率が高まるとされています。 ですから、禁煙というのは非常に重要で、喫煙はいろいろな原因によって酸化ストレスがかかるので、 それによって進行しやすくなります。 禁煙後もタバコの影響は20年ほど続くといわれているので、なるべく早くやめた方がいいでしょう。